虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 第3話「大好きを叫ぶ」感想

こんにちは。さめです。

 

今回はタイトル通り、

 

テレビアニメ

ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会

 

の感想を綴るシリーズです!

 

というわけで、今回は第3話「大好きを叫ぶ」をみて思ったこと、考えたことをまとめてみました。

 

読んでいただけると幸いです!

 

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1.生徒会室のシーン

冒頭は前回の続きから始まりましたね。

「優木せつ菜」について、菜々へ果林が詰問をするシーンからです。

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ここの果林の

「たまたま同好会に親友がいてね。なんで生徒会長が正体を隠してスクールアイドルをやっていたのか、興味があるんだけど、彼女たちが今聞きたいのはそこじゃないみたい。」

 

というセリフから、以下のことがわかります。

果林とエマが親友という間柄ということ

②「中川菜々」=「優木せつ菜」であることを確信したうえで探りを入れていたこと

 

①について、彼女たちの間柄は学科を飛び越えていますよね(エマは国際交流学科、果林はライフデザイン学科)。

 

彼女たちの出会いについてはまだ描かれていませんが、個人的には転校してきたばかりの時期に校内で迷うエマを、果林が偶然見つけて案内した・・・みたいなエピソードがあるのかなぁと思っています。

 

②について、果林は「優木せつ菜の正体を探っていた」わけではなく、

「中川菜々がなぜ正体を隠して優木せつ菜というスクールアイドルをやっていたのか」という観点で調査をしていたことがわかります。

 

このことから、2話で生徒名簿を拝借した理由も、「優木せつ菜という名前がないことを確かめるため」だったのだろうと推測できますよね。

 

おそらく、「中川菜々=優木せつ菜」という可能性の話はエマや他の部員から聞いたのでしょう。

 

 

それを知りながら菜々に確固たる証拠を突き付けて迫る果林。

本当に抜け目がないですよね。。。

 

 

そして、本シーンラストの菜々のセリフ。

ラブライブ!‬を目指すなら、皆さんだけで続けてください」

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ラブライブ!」!!!!!!!!!

 

そう、私はこの単語が聞きたかった・・・・(泣)。

 

せつ菜のこの核爆弾級のセリフから、

この世界にも「大会」としてのラブライブ!(狭義の意味のラブライブ!)が存在すること、そして旧同好会がラブライブ!を目指していたことが明かされます。

 

ラブライブ!という夢のステージへ向けて全力で走っていた同好会。

それが瓦解してしてしまった辛さは、計り知れないものだったのでしょう。。。

 


2.せつ菜の自宅のシーン

そして次はせつ菜の自宅のシーンへと移ります。

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この曇っている夜空は、中川菜々の心そのものなのでしょうか。

 

まさに「暗雲が立ち込める」という表現がぴったりで、「スクールアイドルをやめた」ということが彼女の心にやりきれないモヤモヤ感を残したのでしょう。

 

それでも、夜空を照らす月が完全に隠れていないのは、まだ未練があるからなのでしょうか。

それとも、「高咲侑」という新たな希望の前触れなのでしょうか。。。

 

このシーンで菜々は、

「大好きを叫びたかった私が他の人の大好きを傷つけた。私がなりたい自分は、こんなのじゃなかった。だから・・・」

と自分自身に「スクールアイドルをやめた理由」を言い聞かせています。

 

「だから・・・」と、最後は言葉に詰まる所から、彼女が自分自身へ下した決断がどれだけ悲痛なものだったのかがわかりますよね。

 

心の中ですら言葉にしたくないほどの辛さ。

 

前のシーンで

「優木せつ菜はもういません!私はスクールアイドルをやめたんです。」

とみんなの言い放った彼女の心中は、察するに余りあるものがありますよね・・・。

 

そして次のシーン。

 

菜々の母親が彼女の部屋にはいろうとした瞬間、彼女は「優木せつ菜」の衣装を、漫画や本、ゲームなどが入ったケースに押し込み押し入れに隠します。

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この行動から、親にそのような趣味があることは秘密にしているというスクスタの設定が生きていることが推察できますよね。

 

また、このトランクには赤いバラが描かれています。

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赤いバラの花言葉は「一目ぼれ」「あなたしかいません」「あなたを愛しています」「愛情」など。 

 

まさに、菜々の「愛しているものたち」が詰まったトランクという観点ではピッタリですよね。

 


3.生徒会室〜校庭のシーン

次のシーンは生徒会室。

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ここで、役員の一人から

「最近困った子が校内に住み着いているみたいなんですが・・・」 

という報告を受け、彼女は「困った子」の捕獲に乗り出します。

 

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「困った子」。

それは愛と璃奈がお世話をしていた白い猫、「はんぺん」のことでした。

 

この「はんぺん」、2話ではかすみが生徒会室に嗾けていましたよね。

 

ここで思ったのが、「はんぺん」は生徒会長・中川菜々を生徒会室から外の世界へと導き、彼女をよりよい未来へと導く役割があるのではないか、ということです。

 

2話では、嗾けられた「はんぺん」を追い菜々が生徒会室を開けたことで、果林は生徒名簿を拝借し、かすみは虹ヶ咲スクールアイドル同好会のネームプレートを奪取することができましたよね。

 

この2つの出来事があったからこそ、今回の冒頭のシーンに繋がりますし、かすみがせつ菜と同じことをしていたことに気付く遠因となりました。

 

そして今回(第3話)でも、「はんぺん」を追い校舎の外に出ることで、その帰り道に音楽室でCHASE!を弾く侑に出会うことができるわけです。

 

 

人為的ではなく、動物という未知数の可能性が紡いだ様々な出来事。

今でこそ「偶然」かもしれませんが、後々に「奇跡」だったんだと思えるような美しいアプローチだと思います。

 

 

そして、次に気になったのがこのセリフ。

菜々「その子は天王寺さんのことが大好きみたいですね。名前、なんで言うんですか?」

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璃奈が抱えているはんぺんの名前を聞くこのセリフ。

 

このはんぺんの状況は、現在のせつ菜に重なるところがありませんでしょうか。

 

居場所がないはんぺん。ですが、璃奈に愛されていることで居場所があるように。

せつ菜も居場所がありません。ですが、愛を叫ぶ、大好きなものを叫ぶ世界こそが彼女の居場所ですよね。

 

また、「はんぺんは璃奈のことが大好き」という関係性に、せつ菜の「誰かに大好きと思われたかった」という気持ちを重ねているのだと思います。

 

さらに、璃奈に名前を聞いて答えるシーンが描かれていないのは、菜々の中でまだ優木せつ菜」という存在が燻っていたからなのではないでしょうか。

 

「中川菜々」であり、「優木せつ菜」でもあるどっちつかずな状態。

つまり、「あなたの名前は?」と聞かれたときに彼女はどちらの名前を名乗るか迷ってしまう状態です。

 

それがこのときの「菜々がはんぺんの名前を尋ねる」シーンに重なったのだと思います。


4.音楽室のシーン

そしてシーンは音楽室へ。

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CHASE!をたどたどしく弾く‪侑‬。

その音色に誘われて、菜々が音楽室へ入ってきます。

 

そこで菜々と鉢合わせ、音楽室の使用許可について咎められた侑は、

「ちょっと弾いてみたくなっちゃって。でも、初めてだと全然ダメですね・・・」

と告げます。

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演奏がたどたどしかったのは、初めて弾いたからだ、ということがわかりますね。

これ、侑‬も成長している証なのだと思います。

 

歩夢がスクールアイドルへの一歩を踏み出したように、侑もピアノという未知の世界への一歩を踏み出す。

 

スクスタ設定で「あなた」は虹ヶ咲スクールアイドル同好会メンバーの楽曲を手掛けていましたが、このシーンはその設定を想起させるものになりました。

 

 

 

また、このシーンは第1話と対になっていますよね。

 

第1話では優木せつ菜が歌ったCHASE!が‪高咲侑‬をステージへ誘いましたが、今回は‪高咲侑‬がCHASE!を弾いて中川菜々を音楽室へと誘ったわけです。

(聞こえてきた音を"追跡"して出会う、という観点ではまさに"CHASE"という曲名の通りです)

 

また、侑‬はCHASE!を聞いた時の事を

「歌でこんなに心が動いたの初めてだった」

と、菜々へ伝えますが、今度は侑の言葉で菜々の心が動かされる、という観点も面白いですよね。

 

まるで侑の中に宿った「せつ菜の『大好き』な気持ち」が、間接的に菜々を揺さぶり動かしているかのようです。

 

 

それは以下のやりとりでの菜々の表情からも読み取れると思います。

菜々「そういえば先日お会いしたとき、優木さんに会いたがっていましたよね。」

「うん!大好きなんだ!」

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侑が「大好きなんだ!」と言った時の菜々のこの表情です。

 

ただでさえ「大好き」というキーワードに敏感なこの時の菜々に対して、実際にライブを見ていた侑から届けられた「大好き」という言葉。

 

あの時のCHASE!は、せつ菜の中では確かにファイナルライブだったのかもしれません。

 

ですが、「終わり」は同時に「始まり」でもあったことに気付かされます。

 

 

さらに、優木せつ菜についてマシンガントークを展開するになる‪侑の姿も、菜々に「優木せつ菜」という存在を意識させるには充分なアクターだったのかもしれません。‬

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目を輝かせながら、自分の「大好き」を語る侑。

 

そんな彼女の姿を目の当たりにした菜々は、この「大好きを語る」侑‬の姿に優木せつ菜を、そして自身が初めてスクールアイドルに出会った"あの日の自分"を重ねたのではないでしょうか。

 

 

さらにさらに、この観点でのアプローチは続きます。

「私、夢中になれるものとか、全然なかったんだけど・・・。あの日からスクールアイドルにハマって、今すっごく楽しいんだ!」

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侑、わかるよその気持ち・・・!!!!

 

ここのセリフは、侑がスクールアイドルにはまった日を敢えて「あの日」と表現しているところがズルいですよね。

 

具体的なタイミングを明確に提示しないことで、このセリフは万人、そして菜々に刺さるものへと変貌を遂げたのです。

 

この記事を読んでいるあなたも、きっと思い出したんじゃないでしょうか。

 

スクールアイドルにハマった、あの日のことを。

 

そしてもし、その契機が曲からだとしたら。

 

あなたの中のその「スクールアイドルと出会った曲」を想う気持ちは、侑にとってCHASE!を想う気持ちと同じなのです。

 

事実、このシーンで私はここまでのストーリーで一番侑に感情移入して、ボロボロ泣いていました。

 

 

そして侑は、現在のスクールアイドル同好会の状態を菜々へ伝えます。

このシーンで好きなのが、以下のセリフ後の菜々の笑顔です。

 

「かすみちゃんが誘ってくれて・・・。あっ、ち、違うの!勝手に部活始めたとかじゃなくってね・・・!」

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やはり菜々は、かすみが新たにスクールアイドル同好会を始めることを期待していたんだと思います。

 

「新しく立ち上げてはいけないという校則はありませんし。」

「部員が5人集まったら、いつでも申請に来て下さい。」

 

菜々の以上のセリフからも、その気持ちは読み取ることができますよね。

 

 

自分から廃部にした手前、直接言うことのできない立場からの間接的なアプローチ。

中須かすみという人物を知り尽くしているからこそ託せる新たな未来へのバトン。

 

前回の記事で「せつ菜とかすみは似た者同士」と書きましたが、まさにその通りなのだと思います。

 

 

お互いが譲れない「やりたいこと」がある。

だからこそぶつかり、だからこそ本気の「信頼」と「友情」が生まれてくる。

 

自分が託した願いが成就していたことを知った喜び。

そして、そんな仲間に出会えたことの嬉しさが、この笑顔に宿っているのだと思います。

 

 

この後、侑はせつ菜のライブに対して自分の願望を語ります。

「あのライブが最後じゃなくて始まりだったら最高だろうなって。」

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この言葉は、メタ的目線と重なるところがあります。

 

CHASE!は、アニメ・虹ヶ咲スクールアイドル同好会の物語で一番最初に流れた曲。

つまりは、始まりの曲なのです。

 

また、第1話でライブを披露したDiverCityの階段は、虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会のイベントで初めてTOKIMEKI Runnersを披露したところでもあります。

 

そういった意味でも、あの場所で歌ったCHASE!は始まりの場所で歌った始まりの曲、と捉えることができますよね。

 

 

また、このセリフは菜々・せつ菜に問いかけるものになっていると思います。

 

それは、

「あなたはあのライブを"終わり"のままにしますか?それとも"始まり"に変えますか?」

という、侑からの間接的な問いかけです。

 

確かに、あの時のCHASE!はせつ菜にとって大事な一区切りには変わりありません。

それは変えられない事実です。

 

ですが、その「一区切り」を"終わり"とするか"始まり"とするかは彼女次第で、彼女にはまだ「始まり」へと変えるチャンスがあることを侑が仄めかしているように見えたんですね。

 

この言葉に対して菜々は、

「せつ菜さんはあそこで辞めて正解だったんです。」

と答えます。

 

他メンバーが再起不能になる前、つまりスクールアイドルが嫌いになる前に自身が身を引くことによって、将来にわずかな期待(同好会が再興する可能性)残すことが、彼女にとっての精一杯だったんですね。

 

これは後のセリフで

「けじめでやったステージが、少しでも同好会のためになったのなら」

 と語られます。

 

それでは、なぜ彼女はその選択をしたのか。

その理由はこの後のせつ菜の会話に表れてきます。

 

「‪ラブライブ!‬は、スクールアイドルとそのファンにとって最高のステージ。あなたも優木せつ菜のファンなら、そこに出てほしいと思うでしょう?」

「スクールアイドルが大好きだったせつ菜さんは同好会を作り、グループを結成し、全国のアイドルグループとの競争に勝ち抜こうとしていました。」

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このセリフから、少なくとも優木せつ菜がラブライブ!に出場しようとした目的は、「勝つこと」であることがわかります。

 

いつものせつ菜なら「大好きを広める新たなステージ」としてラブライブ!への出場を目指すものだと思っていたので、このセリフは純粋に意中の外でした。

 

 

また、グループを組んだ理由も

「勝利に必要なのはメンバーがひとつの色にまとまること

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と話しています。

やはり「勝つため」という気持ちが先行しているように見えます。

 

そしてまとまらず衝突が起きたのは全部自分のワガママであると吐露します。

 

 

おそらく、まとまらなかったのはみんながみんなラブライブ!を勝ち抜こうと思っていなかったからのだと思います。

 

ラブライブ!に勝ちたいからグループを組む。

 

それは決して間違っているとは言いません。

数多のスクールアイドルがいるあの世界で、実際そんなグループがいたかもしれませんからね。

 

ですが、私が感じてきた「グループの」ラブライブ!は、以下のエッセンスが強かったと思っています。

 

みんなで叶えたい夢があるからグループを組む。

そのみんなで叶えたい夢がグループをラブライブ!へと導く。

 

 

あくまで目的は「夢を叶えること」。

狭義の意味でのラブライブ!は、その夢を叶える手段なんだと思っています。

 

優勝することで、スクールアイドルの素晴らしさを全世界に解き放ったり。

優勝することで、廃校が決定した学校の名前を永遠に刻んだり。

 

比較するのはナンセンスかもしれませんが、同じ夢を共有できなければグループとしてラブライブ!に出場することは難しいのではないか?と個人的には思いました。

 

だからこそグループは「ひとつの色にまとまる」のでしょうね。

なぜならその「ひとつの色」は、みんなで叶えたい夢の色だからです。

 

もし、敢えて虹ヶ咲スクールアイドル同好会に色を付けるのだとしたら、それは名前の通り「虹色」になるのだと思いました。

 


5.生徒会室〜外へ行くシーン

そしてシーンは生徒会室へ移ります。

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侑の影響か、せつ菜のライブ映像とコメントを見る菜々。

 

ここで菜々は、

(期待されるのは嫌いじゃないけど、ひとつくらい自分の大好きなことをやってみたかった)

と心の声を聴かせてくれます。

 

おそらく、ファンの期待は彼女のプレッシャーに変わっていたのだと思います。

 

有名になるにつれ、大きいステージに立つにつれ。

 

彼女の中で、「もっともっと大好きを伝えたい」という想いは使命感に変わり、それを表現する最高のステージとして「ラブライブ!で勝ち抜く」という目標に行きついたのだと思います。

 

 

しかし、そんな想いから生まれた焦りが、かすみとの衝突を生み、虹ヶ咲スクールアイドル同好会を瓦解させてしまった。

 

そして、彼女は自分の「誰かの大好きを否定してしまった」行為は、ワガママであったという結論を出してしまいます。

 

大きすぎた期待が、彼女の本当に「やりたいこと」を捻じ曲げてしまったように思えてなりません。

 

だからこそ、このシーンです。

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かすみと‪侑‬と歩夢の新しい同好会の胎動に対して、ひとりで部室棟を見ながら去る菜々の姿。

 

過剰な期待もない。

自分がやりたいことが自由にできる、生まれたばかりの同好会。

 

菜々が部室棟に向けたその眼から、「羨望」という2文字を読み取ったのは私だけでしょうか。


6.公園のシーン

そしてシーンは公園へ。

生徒会室へ直談判しにいった4人と、練習していたであろう3人が合流します。

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ここで、生徒会室に直談判しに行ったときにかすみだけいなかった理由が判明します。

しずく「学校中探してもいなかったから・・・。スマホにも連絡いれたんだよ?」

かすみ「えっ、本当? あぁー、全然気づかなかった!」

 

学校中探してもいなかったのは、近くの公園で練習していたから。

連絡に気が付かなかったのは、それだけ熱心に練習をしていから、なのでしょうね。

 

また、かすみは果林を「部外者のおねーさん」呼ばわりしたお詫びとして、コッペパンを献上します(もはや伝統芸能ですね)。 

 

ここで好きなのが以下のシーンです。

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果林はさらっとコッペパンを半分エマに分けています。

「親友」という関係性がここに見えてきますよね。



事の顛末をかすみたちに話す4人。

 

そして果林がこう発言します。

「同好会は今日にでも始められるでしょ?本人が辞めると言っているんだし、無理に引き留める必要ないんじゃ・・・?」

 

部員もそろった。生徒会の許可も下りる。

果林のいう通り、スクールアイドル同好会の活動はもう可能なんですよね。

 

ですが、ここで侑が一石を投じます。

「本当にやめたいのかな・・・」

「せつ菜ちゃん、やめてもいいんですか?」

 

きっと侑は、音楽室での菜々との対話で、せつ菜の本心を見出したのでしょう。

そして、この投じた一石が波紋を広げるかの如く、

「それは嫌だよ!」

 

と異口同音に応えるスクフェス組。

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ここで特筆すべきなのは、ここまで「個」を描いてきたこの物語が、各メンバーが「せつ菜にいてほしい」という共通の想いを持っていることを描いた点です。

 

皮肉にも、「個」に対する期待から暴走・衝突してしまったせつ菜の存在が、虹ヶ咲スクールアイドル同好会の各メンバーに「同じ想い」を生むことになるわけです。

 

この時点ではまだ「ソロ活動メイン」という答えは出ていません。

果林の言う通り、せつ菜がいなくても活動は可能です。

 

ですが、せつ菜がいてほしいという想いはみんなが抱いていた。

きっと、せつ菜が描いた「大好き」な気持ちは、みんなに伝わっていたのだと思います。

 

誰も幻滅なんてしていない。

誰もせつ菜のことを嫌いになんかなっていない。

 

虹ヶ咲スクールアイドル同好会だからこそ描ける繋がりを、このシーンに垣間見たような気がしました。

 

 


そしてその想いは、せつ菜について語るかすみのこの真面目な表情にも表れています。

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喜怒哀楽が激しい彼女が見せる、こんな真面目な表情。

その目は確かに、せつ菜や他のメンバーと一緒にスクールアイドル活動をするビジョンを見据えているように感じました。

 

そしてここでかすみは

「前の繰り返しになるのは嫌ですけど、きっとそうじゃないやり方もあるはずで・・・」

 

という、願望にも似た想いを吐露します。

 

この「そうじゃないやり方」

それこそが虹ヶ咲スクールアイドル同好会の真骨頂である「ソロ活動で自己実現ということですよね。

 

そして何より素晴らしいなぁと思ったのは、かすみが提示した「そうじゃないやり方」は、1人では気づけなかったという点です。

 

いろいろなメンバーがいろいろな想いを抱えて。

「いろいろなやりたいこと」に本気で取り組むメンバーがいなかったら、きっとこの考え方には辿り着かなかったでしょう。

 

みんながいるから、個々の夢が生まれる。

 

私はここに、新しい形のラブライブ!を発見したような気がするのです。

 


7.庭園〜生徒会室のシーン

そしてシーンは庭園へ。

はんぺんが「生徒会おさんぽ役員」に就任したことが明かされます。

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この事実は、またしても私に「はんぺんが優木せつ菜に重なる」という観点をもたらせてくれました。

 

そのきっかけになったは愛のこのセリフ。

「学校の一員に迎え入れることは校則違反にはならない」

 

私はこの愛のセリフ内の「校則」という言葉を、愛のダジャレらしく「拘束」でもある、と捉えてはんぺんとの重なりを考えてみました。

 

まず、居場所がなかったはんぺんは、生徒会おさんぽ役員に就任することで、校則違反にならず虹ヶ咲学園という居場所を得ることができました。

 

この状態は、生徒名簿に名前が存在していない「優木せつ菜」も似たような状態ですよね。

 

「優木せつ菜」の名前は生徒名簿になく、唯一の居場所である同好会も瓦解してしまった。

つまり、「優木せつ菜」という存在は、中川菜々という1人の少女の奥深くに「拘束」されてしまったのだと思います。

 

そしてこの後、せつ菜は自らの居場所をまた同好会に描くわけですが、

そんな彼女の状態遷移が「居場所がない→コウソクを擦り抜けた先に居場所が生まれる」はんぺんと同じだなぁと感じました。

 

ここで先ほどの「校則/拘束」の話を少し掘り下げると、

「髪の毛の拘束はない」と捉えれば、菜々→せつ菜へ変わる瞬間になります。

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また、同好会が瓦解したエピソードを見ても、言い方はよくないですが「せつ菜が自分の"大好き"で他のメンバーを拘束してしまっていた」ととることもできると思います。

(せつ菜が好きなみなさん、こんな書き方をしてしまいすみません)

 

生徒会長としての中川菜々は「校則」を重んじる姿勢からも、

中川菜々・優木せつ菜という1人の少女に対する1テーマとして「校則/拘束」があるのかなぁと思ったシーンでした。

 

 

そして場面は生徒会室へ。

会議中の菜々は、放送で屋上へと呼び出されます。

 

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ここで好きなのがこの呼び出し方です。

歩夢普通科2年。中川菜々さん、優木せつ菜さん、至急西棟屋上まで来てください。」

 

まず第一に、「中川菜々さん、優木せつ菜さん」と連名で呼ぶところですよね。

 

屋上で待つ侑は、菜々だけでなくせつ菜とも話したいのでしょう。

 

また、生徒名簿に載っていない「優木せつ菜」という名前をここで使うことによって、「優木せつ菜」という1人の生徒をこの虹ヶ咲学園に描くことができますよね。

 

つまり、

この放送を聞いた生徒1人1人に「優木せつ菜って生徒はやっぱり虹ヶ咲学園にいるんだ」と思わせてくれるこの放送が、生徒1人1人の心の中に、確かに「優木せつ菜」という生徒を描くわけです。

 

これがあったからこそ、この後披露されるDIVE!は学校内で歌うことができたのではないでしょうか。

 

 

そして第二に、西棟屋上という呼び出した場所です。

 

この場所は周知のごとく、せつ菜とかすみがぶつかり合ったあの場所です。

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きっと侑は、菜々/せつ菜があの1件を乗り越えてくれると信じているからこそ、この場所を指定したのでしょう。

 

もしかしたら、この場所を選んだのは旧同好会メンバー、特に中須かすみなのかもしれません。

 

いずれにせよ、ここから彼女の新しい物語が始まると思うと、ワクワクしますよね。

 


8.屋上のシーン

そしてシーンは、放送通り西棟屋上へ。

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そして、まず最初に仕掛ける(?)のが侑。

「こんにちは、せつ菜ちゃん」

 

この問答から、いろいろと推察をする菜々ですが、

侑は音楽室で会話した時点でうすうす「菜々=せつ菜」であると感じていたことを菜々に伝えます。

 

 

やはり、自分は自分。

せつ菜の内面を熱く語った菜々の姿に、侑は「菜々=せつ菜」という等式を感じとっていたのでしょう。

 

 

そして、侑はあの時の答えをここで伝えます。

菜々「幻滅しましたか」(音楽室のシーン)

「私は、幻滅なんてしてないよ」

 

 一見やりとりがつながったように見えるこのシーン。

 

菜々からの問いかけに応じるかのように侑が言った「幻滅していない」という言葉は、せつ菜に向けられているのではと思いました。

 

 

そして、スクールアイドルとして同好会に戻ってほしい旨をせつ菜に伝えた次の瞬間こそが、私がこの話で一番感動したシーンになります。

 

菜々「私がいたら、ラブライブ!に出られないんですよ!」

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「だったら・・・だったらラブライブ!なんて出なくていい!」

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ホンキとホンキがぶつかり合うこの瞬間。

 

放映されたとき、まるで時間が止まったような感覚に襲われたこのシーンは、

ラブライブ!史上、歴史に残る名ゼリフです。

 

そしてこのシーンから以下のことを感じ取りました。


せつ菜は‪、スクールアイドルを知りすぎた故にラブライブ!‬に囚われていたのだと思います。

 

それに対して、最近スクールアイドルを知った‪侑‬にとっては、ファンがいて、スクールアイドルがいればそれで充分だったのです。

 

この観点は、実際にスクールアイドルのファンである我々にも当てはまると思います。

 

ファンの方々の中には、他グループがラブライブ!‬で優勝した物語を虹ヶ咲に当てはめ、「彼女たちがどう‪ラブライブ!‬に出場して勝つか」という見方をしていた方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 

隠さず言います。私もこの1人です。

 

一方、侑と同じように、推しが笑顔でファンである我々に対して笑顔で歌を届けてくれるだけで満足なファンの方もいらっしゃいますよね。

 

つまり、このシーンは2種類のファンのアプローチをも描いているシーンであるわけです。

 

虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会という作品は、そこから描いてくれるんですね。

 

「‪ラブライブ!‬」じゃない「‪ラブライブ!」‬を描くのが虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会というプロジェクトなのだと強く感じました。

 

 

そして、‪侑のこのセリフです。‬

「言ったでしょ?大好きだって」

 

これは、菜々が1人生徒会室で回想した以下のセリフに呼応するものになっていますよね。

「私の大好きはファンどころか仲間にも届いていなかった」

 

こう菜々は一人で思っていましたが、実際は違いましたよね。

 

ファンにも

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仲間にも

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彼女の「大好き」は届いていましたよね。

それを菜々はようやく知ることができたわけです。

 

雲の切れ間から差し込む光は、まるで「優木せつ菜」の新しい門出を祝福してくれているようです。

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「あなたは今、自分が思っている以上にすごいことを言ったんですからね!どうなっても知りませんよ!」

 

自分の「大好き」を全て受け止めてくれるファンが目の前にいる。

それだけで、優木せつ菜がステージに立つ理由は充分すぎました。

 

ここからが、この場所が新章・優木せつ菜の始まり。

優木せつ菜・オンステージなのです。


9.DIVE!後

そして引き続き屋上のシーンです。

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DIVE!というステージが心象風景なのか、それとも現実世界のステージなのかはわかりません。

 

ただ、一つ言えることは

「中川菜々は全校生徒を知っている、優木せつ菜は全校生徒に知られる」存在になったということですよね。

 

虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 優木せつ菜でした!」

 

この高らかな自己紹介は、前述の放送を聞いた生徒たちに確かに響いたことでしょう。

 

 

総じて3話は、生徒一人一人の心の生徒名簿に、「優木せつ菜」という名前を描く物語だったのだと、そう感じました。

 

 

以上、ラブライブ!虹ヶ咲スクールアイドル同好会第3話「大好きを叫ぶ」の感想でした。

長い記事、ここまで読んでくださりありがとうございました!


次回!「未知なるミチ」!!