虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 第7話「ハルカカナタ」感想

こんにちは。さめです。

 

今回はタイトル通り、

 

テレビアニメ

ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会

 

の感想を綴るシリーズです!

 

というわけで、今回は第7話「ハルカカナタ」をみて思ったこと、考えたことをまとめてみました。

 

読んでいただけると幸いです!

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1.スーパー〜近江家シーン①

冒頭はスーパーのシーンから。

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一生懸命働く彼方の、「眠れる森に行きたいな」を思わせる

「彼方ちゃんはいつも全力です。」

というセリフから始まりました。

 

そしてシーンはすぐ近江家へ。

遥が彼方へ、ライブに出演することを伝えます。

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ここで注目(?)したのが背後のカレンダーです。

 

仮にアニメ虹ヶ咲の世界を西暦2020年と仮定すると、カレンダーがこの形(1日が金曜日にくる)のは、2020年5月となります。

 

ここまで様々な色が濃い物語をみせてくれてきたアニメ虹ヶ咲ですが、実はまだ5月。

 

彼女たちのここまでのお話は若干2ヵ月の間のお話だと考えると、すごくドラマチックに見えてきますよね(もちろん2020年と仮定した場合の話ですが)。

 

そしてこのやりとりです。

「お台場のヴィーナスフォート。私、センターに選ばれて…。」
彼方「おぉっ!遥ちゃん、最前列で見るよ~。すごいな~、東雲学院のスクールアイドル部のセンターなんて~。頑張ってたもんね~。」
「へへっ、私もお姉ちゃんのライブ、早く見てみたいな。」
彼方「彼方ちゃんも早く遥ちゃんに見せたいよ~。」

 

遥の手を取り合い、まるで自分のことのように喜ぶ彼方。

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ここで語られるのは「互いのやりたいこと」、つまり「互いの夢」ですよね。

 

遥は彼方のステージが観たい。

彼方は遥のステージが観たい。

 

似た者同士の姉妹。

互いが互いのステージを見たいと言い合えるのは素敵なことですよね。

 

 

また、ここで虹ヶ咲としては聞きなれない「センター」という言葉が出てきます。

 

東雲学院はソロではなくグループ。

グループである以上、そこには「センター」という重要なポジションが存在します。

 

そこを勝ち取った遥。

 

この「センター」という言葉は、遥がどれだけスクールアイドルの練習を必死にやってきたかを想像させるキーワードであると同時に、遥がどれだけグループメンバーから期待されているかを示すものとなっています。

 

また、このお話の終盤で、この会話とは逆に遥が彼方のライブを最前でみることとなるのは偶然でしょうか。。。


2.寝室のシーン

そしてシーンは夜、寝室へ移ります。

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夜遅くまで勉強している彼方。

ノートに書かれた衣装は、のちの「Butterfly」の衣装になります。

 

メルヘンチックなタッチがとても彼方らしいですよね。 

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そして、その光景をベッドから見守る遥。

おそらく遥は、夜遅くまで頑張る彼方の姿を見たのがこれが初めてではないと思います。

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そんな姿を何度も見てきた遥。

回数を増すたびに、遥の心に徐々に「無理をしてほしくない」という気持ちが芽生えていったのは想像に難しくありません。

 

そんな募り募った想いが、とうとう遥を動かしていきます。 

 


3.近江家のシーン②

そしてシーンは翌朝。卵焼きを焼く彼方と、早く起きてくる遥のシーンへ。

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珍しく早く起きた遥は、姉とこんなやり取りをします。

 

彼方「おはよう、今朝はずいぶん早いねぇ。」
「うん、手伝おうと思って。」
彼方「いいよいいよ~。遥ちゃんはゆっくりしてて~。」
「でも…」
彼方「もうすぐだから待っててね~。」 


遥の「姉を助けたい」「姉ばっかりに無理させたくない」という気持ちからくる言葉は、彼方に一蹴されてしまいます。

 

ここで遥が少し悲しい表情になるのは、そんな言葉の裏にある本心が伝わってないことを知ったからですよね。

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そんな感情のすれ違いは、次のやり取りにも出てきます。

「…… お姉ちゃん!あのね、今日お姉ちゃんの同好会、見学しに行ってもいい?」
彼方「...!? 大歓迎!」

 

ここで際立つのは、真面目な表情の遥と嬉しそうな表情の彼方です。

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彼方の喜びは、大好きな遥と一緒にいられる時間が増えるから、自慢の妹をメンバーに紹介できるからという理由からきているのでしょう。

 

対する遥は、姉が無理をしていることで、倒れたり迷惑かけたりしていないかどうかが心配だから、という理由ですよね。

 

もちろん、遥は純粋に「いつもは見れない同好会での姉の姿を見たい」という気持ちもあったと思います。

 

ですがそれ以上に、遥は彼方を心配していたのでしょう。

それが嘘偽りなく表情に出ているのだと思います。


4.正門前のシーン

そしてシーンは、虹ヶ咲学園の正門のシーンへ。

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ここでまず注目したのが侑の

「すごいすご~い!あの東雲学院で注目度ナンバーワンの近江遥ちゃんに会えるなんて、トキメいちゃう~!」

「だって、あの東雲学院だよ!都内でも有名なスクールアイドル部に期待の1年生現る!ってネットでも話題なんだから!」

というセリフです。

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これまであまり虹ヶ咲学園の中から飛び出さなかったこの物語も、このセリフと遥の存在で一気にそのスケールを大きくしましたよね。

 

もちろん、「虹ヶ咲学園以外にも数多のスクールアイドルがいる」という観点は、敢えて語ることでもないですが、いざ触れられるとラブライブ!」のコンテンツの成長を改めて実感することができました。

 

そしてこのやりとりです。

彼方「なんかね、最近の彼方ちゃんがと~っても楽しそうだから同好会に興味深々なんだって~。」

「うんうん!彼方さん、どんな練習も楽しそうだもんね。」
彼方「ふふふ~。今日の彼方ちゃんは一味違うよ~!
歩夢「妹さんも彼方さんの様子を見たいって素敵な関係だよね。」

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歩夢の言う通り、互いが互いのやりたいことをやっている様子を見たい、と思っている関係はとても素晴らしいですよね。

 

また、この時の遥の自然な笑顔からも、彼女の中に「スクールアイドル活動を楽しんでいる姉の姿を見たい」という気持ちがあるのだということを教えてくれます。

 

虹ヶ咲学園に所属していない第三者虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会を見学する、という今までになかったシチュエーションは、近江姉妹だからこそ描ける物語であることを示してくれているかのようです。


5.部室のシーン①

そしてシーンは部室へ。

ホワイトボードを前にかすみ・しずく・愛・果林が遥について話す場面です。

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ここで気になるはやはりこのシーンです。

しずく「あの~スクールアイドルはライバルではあっても敵ではないのでは?」
かすみ「いいえ敵です!しかも相手は同じ1年生なのにネットでチヤホヤ…じゃなくて注目されてて羨ましい、いや悔しい!そう思うでしょ!しず子!」
しずく「ぅえぇ……私は別に……」
かすみ「そこは悔しがって!」

 

かすみのペースに巻き込まれるしずく。

かすみは悔しがらないしずくに突っかかります。

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ここで私は、悔しがらないしずくの姿が目に留まりました。

 

これまで、数多のスクールアイドルが「悔しい」という気持ちをバネに、一段上のステージへと駆けあがってきました。

 

だからこそ、ここでかすみが「悔しい」という気持ちの大切さを説いているのはすごく自然ですし、しずくがその気持ちを抱いていないのは意外でした。

 

また、このシーンで同席していたのは「逆境に燃える」タイプの愛と、「トップを取ってみせる」と豪語した果林。

 

こういうことはあまり書きたくないのですが、他三人にくらべてしずくの「スクールアイドルへの情熱」はまだ目覚めていないのかなぁと思いました。

 

それと同時に「桜坂しずくにとってスクールアイドルとはなんなのか」という問題提起すら感じさせたこのシーンは、次のお話で触れられる伏線なのかもしれません。

 

そして次に気なったのがこのやりとり。

かすみ「我々が東雲学院のスクールアイドル部に負けてないってこと、部長のかすみん自ら証明してみせます!」
「あれ?かすみんって部長だったの?」
しずく「自称ですけど…」

 

このシーンを見て、誰もが「あ、部長だったんだ」と思ったことでしょう。

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かすみの一番の強みは、「可愛さ」というより「(自分が一番可愛い、と)自分自身を信じることができること」だと思っています。


だからこそ、彼女は堂々と部長を自称できるのだと思います。

 

部長に相応しいのは自分だと、強く信じている彼女。

さらにそれを口に出すことで、かすみは「言い切りの法則」のごとく自身の望んでいる世界を手繰り寄せていきます。

 

また、しずくがもともと知っているような素振りをするのは、事前に相談を受けたからなのでしょうか。

 

かすみらしさ、そして一年生間の友情も感じ取ることができる素晴らしいシーンだと感じました。

 

そして今度は知名度のお話へ。

果林「でも実際、知名度に関してはうちと東雲学院じゃ天と地ほどの差があるわよ?」
かすみ「うぐっ、それを言われると…」
「校内ではわりと有名になってきたんだけどね~」

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同好会より東雲学院に軍配が上がってしまう「知名度」。

ですが、同好会の活動も愛のセリフによって校内で知れ渡ってきていることがわかります。

 

やはり一番大きな要素はやはりせつ菜の「DIVE!」のステージだとは思いますが、それ以上に日々の練習風景を数多の生徒が見ているからなのだと感じました。

 

 

そして、部室にエマと璃奈が入ってきます。

エマティーセットを借りてきたよ~。 遥ちゃんに会うの、とっても楽しみだね~。」
璃奈「うん。天使みたいに可愛いって、彼方さんよく言ってるし。」

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この璃奈の発言は、正門前で侑が発した

「可愛いうえに礼儀正しくて…天使!」

というセリフを思い出させてくれます。

 

つまり侑は彼方と同じく、遥を「天使」と表現しているんですね。

侑はここでも、メンバーをよく見ているなぁと思わせてくれました。

 

 

そして、とうとう部室に遥を迎え入れます。

しずく「こちらこそ、よろしくお願いいたします。」

「楽しんでってね~。」

果林「よろしくね。」

エマ「待ってたよ~。」

璃奈「よろしく。璃奈ちゃんボード『にっこりん』」

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こんな十人十色の言葉たちに迎え入れてもらえた遥。 

きっと彼女はあらためて虹ヶ咲の個性を感じ取ったのではないでしょうか。

 

そして待ち構えるは対抗意識をメラメラ燃やす自称・部長の中須かすみ。

「はじめまして~!あなたの可愛いはここにいるスペシャルスクールアイドルかすみんこと中須かすみです。今日はかすみんに会いに来てくれてありがとう~!」

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もはや挨拶というよりMCですよね。

 

前のシーンで散々敵やら羨ましい等言ってた相手にこんなMCができるのは、かすみの中の「プロ意識」の現れなのだと感じました。

 


6.ランニングのシーン

そしてシーンはトレーニングのシーンへ。

 

ちらっと映る、練習中の同好会を見下ろす生徒たちは、学内で有名になっている同好会を一目見ようとしているファンなのかもしれません。 

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最初の練習メニューはランニング。

彼方「うぉぉぉ~!遥ちゃ~ん!」

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と、今まで聞いたことないような声を上げてしっかり腕を振って全力で取り組む彼方に、遥は圧倒されます(鬼頭明里さんってこんな演技もできるんだ、と思いました)。

 

 

そんな全力で走る彼方の隣を、澄ました顔で走る愛の姿は、彼女の底知れぬ体力を想像させます。

 

そんな光景を見た二人の会話がこちら。

「同好会の活動が再開してから、彼方さんすごく頑張ってるんだよ!」
「そうなんですね…」
「?」 

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全力で頑張っている姉の姿を見て、少し俯く遥。

やはり心中では、姉が倒れないかどうか心配しているのでしょう。

 

また、その小さな所作に気づく侑も、「スクールアイドル」をよく見ているなぁと感心しました。

 


7.屋上のシーン

続いては屋上、前屈→腕立て→バランスボールプランクのシーンです。

 

まずは前屈。

ここで目に留まるのが璃奈です。

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完璧に柔軟ができていますよね。

彼女の絶え間ぬ努力が窺えます。

 


次は腕立て。

ここでは愛の体力が光ります。

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ですが、遥は

「頑張れお姉ちゃん!」

とまるで彼方しか見えないかの如く彼方を応援しています。

遥がどれだけ彼方のことが好きなのかがわかりますよね。

 


最後にバランスボール+プランク

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汗だくになりながらも頑張る彼方。

汗もバランスボールもはじけ飛ぶその姿に彼女がいかに全力かがわかります。


8.部室のシーン②

そしてシーンは再び部室へ。

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一同「ようこそ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会へ!」

と、改めて遥を迎え入れるこのシーンは、「同好会以外の人から見た同好会」という珍しい視点を見せてくれます。

 

まるで、アニメを見ている自分自身が同好会を訪れたような気分になりますよね。

 

 

そして、かすみが用意した特製コッペパンに手を付ける彼方。

彼方「んんっ、遥ちゃん、これ彼方ちゃんイチオシ!」

「じゃぁ、はむっ…おいしい~!」

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これは、コッペパン総選挙で彼方が推した「ふかふかブルーベーリーミルクコッペパン」に似ています。

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また、このおいしさに遥が同調するのがなんだか姉妹らしいですよね。

 

 

そしてこんなほほえましいやりとりも。

エマ「クッキーもたくさん食べてね。」

果林「そうね、エマが食べすぎる前に。」
エマ「果林ちゃ~ん!」

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すっかり溶け込んだ果林。

そして同好会の部室に響く、みんなの笑い声。

 

ここだけはスクールアイドルじゃない、普通の女子高生である彼女たちの姿を垣間見ることができますよね。

 

また、この後の彼方の笑顔のアップは、心配している遥を少しは安堵させたのではないでしょうか。

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そして突然、彼方は頭を垂れてしまいます。

しずく「大丈夫ですよ、枕はちゃんとありますから。」
「えっ...」
エマ「この枕、彼方ちゃんのお気に入りなの。寝心地いいんだって。」

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慣れた手つきで枕を挿入するしずく、ブランケットをかけるエマの姿から、彼女たちがいかにいつも彼方の世話をしているかがよくわかります。

 

とりわけしずくは、必死に彼方を起こしているシーンがありましたよね。

 

この2人の関係(つまりかなしず)は、

・遥も1年生、しずくも1年生なので、彼方はしずくの所作に遥を投影している

・しずくは彼方の理想の妹、つまり遥を演じている

と捉えるとおもしろいですよね。

 

 

そして、突然目の前で糸が切れたように眠ってしまった姉を見て、遥はその頻度を聞き出します。

「あの、お姉ちゃんはよく寝ちゃうんですか?」
しずく「はい、私の知る限り、彼方さんは寝るのが大好きだと思いますよ?」
エマ「特に膝枕で寝るのが好きだよね。」
「膝枕ぁ!?」

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ここで遥が膝枕で驚いたのは、彼方の睡眠が1人だけの問題じゃないことに気が付いたからだと思います。

 

彼方の負担が、膝枕をする人にまで圧し掛かってしまう。

 

そんな事実が、彼女の決断を早まらせることになったのだと思います。 

 


9.部室のシーン③(彼方起床後)

そしてシーンは続けて部室。

侑が遥へ自分の立ち位置を話しているときに彼方が目を覚まします。

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「疲れて当然だよ、いっぱい無理してるんだから」
彼方「? 無理してるって何を?」
「やっぱり……」

 

このやりとりから、彼方は取り組んでるさまざまなこと(バイトや家事)をやって当然と思っていることがわかります。

純粋に「やるべきこと」と捉えていますよね。

 

そして遥は見学の真の目的を告げます。

「私、お姉ちゃんが忙しすぎて倒れちゃうんじゃないかって心配で…それで今日見学に来たの」

彼方「そうだったの?」
「でも、今日のお姉ちゃんは疲れなんて感じさせないぐらい元気で楽しそうで、すごく嬉しかった。いつも私を優先してくれたお姉ちゃんがやっとやりたいことに出会えたんだって。」

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遥は、同好会で楽しく活動する彼方の姿を見て、

「スクールアイドル同好会こそが彼方が自分のために心から楽しめる場所」

と考えたことがわかります。

 

そしてそれは遥が望んだことでもありました。

 

ですがそのスクールアイドル活動が、今、彼方が「遥のために」取り組んでいる様々なことで脅かされてしまっています。

 

つまり、スクールアイドルに取り組んでいる自分という存在が、大好きな姉の大好きな時間を奪ってしまっていることに気が付いたのです。

 

そして遥は、最悪の答えを出してしまいます。

「私、スクールアイドル辞める…!」

「私の事よりお姉ちゃんにはやりたいことを全力でやって欲しいの。」

 

有名なスクールアイドルグループに入って。

センターというポジションをもぎ取って。

 

遥のそんな順風満帆なスクールアイドル活動も、姉のためなら投げ捨てられる。

自分が身を引いてでも、姉には好きなことをやってもらいたい。

姉が苦労する姿を見ながら自分の夢を追いかけることなんてできない。

 

そんな固い意志と海より深い姉妹愛も、彼方に正しく届くことはありませんでした。

 

 

彼方「ダメ!そんな、遥ちゃんは夢を諦めちゃダメ!
「お姉ちゃんが苦労してるの分かってて、夢を追いかけるなんて出来ないよ!」
彼方「! そんなの、気にしなくて良いんだよ~。だって遥ちゃんは大事な妹なんだもん~。」
「どうして…?妹だったら気にしちゃいけないの…?」
彼方「心配させちゃってごめんね。彼方ちゃんもっと頑張るから…!」
「…! お姉ちゃんの分からずや!」

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「もっと頑張る」という言葉は、遥が一番聞きたくなかった言葉に違いありません。

 

無理してほしくないから身を引くのに、「もっと頑張る」と言われた遥の心中は察するに余りがあります。

 

ずっと一緒に生きてきて、ずっと心を通わせてきたであろう彼方と遥。

 

ですが、彼方の中の「姉は妹のために動き、妹はただそれに準じていればいい」という時間は、「成長」という名の二文字によって終焉を迎えることになるのです。

 

変わるためにぶつかり合う不器用な青春。


部室で佇んでしまう彼方は、まるで自身がここにいる理由を問うてるかのように見えました。

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10.校舎外のシーン

そしてシーンは、飛び出した遥を侑が追いかけて校舎外へ。

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ここで心にきたのが遥の

「お姉ちゃんが背負ってきたものは、今度は私が背負うべきなんです。」

というセリフです。

 

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これは純粋に彼方のことを想って出てきた言葉なのでしょうが、彼方はこんなことを望んでいませんよね。

 

互いが互いを想うあまりに表面化してしまったすれ違い。

 

遥の中の自立心と優しさ、そして何より姉を想う気持ちが、「負担を2人で分担し合う」という選択肢を眼中の外へと追いやっているかのようです。

 

まさに「All or Nothing」

 

彼方のためにと「背負う」という言葉まで使って遥が出した答えは、彼方にとっては最も避けたいことだったのだと思います。

 

11.スーパーのシーン

そしてシーンは、スーパーでバイトをしている彼方のシーンへ。

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トマトを陳列させすぎる彼方の姿から、彼女の中で「遥と喧嘩してしまった」という事実がどれだけ大きいものかがわかりますよね。 

 

他の売り場を侵食してしまうトマトは、まるで遥と衝突してしまったというショックに蝕まれた彼女の心中のようです。


12.校庭のシーン

そしてシーンは、校庭へと移ります。

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彼方の相談にのる同好会のメンバー。

ここで彼方は、遥と同じような答えを出そうとします。

彼方「遥ちゃんせっかくスクールアイドルになったのに心配かけちゃって…遥ちゃんがやめるぐらいなら…いっそ彼方ちゃんが…」
「それはダメ!」 

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ですが、「その言葉」を最後まで言い切る前に侑が止めます。

スクールアイドルが大好きな侑は、もう「その言葉」を聞きたくはないはずです。

 

 

そして口を開くのはエマ。

 

エマ「彼方ちゃん、それは本当に彼方ちゃんが望んでいることなの…?」
彼方「違う…彼方ちゃんの望みは…ずっと探していた夢は……ここにある。同好会が再開してから、ずっと楽しかったんだ。やりたいことがどんどん増えていって…それを一緒に目指す仲間が居るのがすごく幸せで…。皆との同好会は彼方ちゃんにとってもう、大事な失いたくない場所なんだよ。」

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この一言で、改めて自分の中の「やりたいこと」と向き合った彼方。

 

そして気づきます。

彼女は、この虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会という場所で「夢」を見るのが好きなんだと。

目を開けてみる夢も、目を閉じてみる夢も、全部の夢がこの虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会にある。

 

探し求めていた夢あって、その夢を見ることができるこの場所は、彼女にとってかけがえのないものになっていることに気が付くのでした。

 

しかし、彼方の願いはそれだけではありません。

彼方「でも、遥ちゃんの幸せも守りたいの……そんなの、わがままだよね。」
果林 「そうかしら。それってわがままじゃなくて自分に正直って言うんじゃない…?」

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遥の幸せを守ること。

自分のやりたいことをやること。

 

この2つの願いを同時に主張することを「ワガママ」だと表現した彼女を、果林は「自分に正直」という優しい言葉で包みます。

 

「スクールアイドル、できるかしら」という正直な気持ちを口に出したからこそ今がある果林だからこそ言えるセリフですよね。

 

 そして極めつけは侑のこの言葉。

「遥ちゃんはもう守ってもらうだけの人じゃないと思う。」

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お互い似た者通しの近江姉妹。

この言葉で、彼方は遥も「彼方の幸せを守ること」という願いを持っていることを知ります。

 

兄や姉はいくつになっても弟や妹に頼られたいものです。

それ故、彼方は遥の成長に気付くことができなかったのかもしれません。

 

だからこそ、このシーンの「家族ではないけど同じくらい大切な『仲間』からのアプローチ」が、私はとても自然に、美しく感じました。


13.ヴィーナスフォート(教会広場)のシーン

そしてシーンはライブ会場であるヴィーナスフォートへ。

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満員のお客様を前に、少し下がり眉の遥。

自身のファイナルライブという寂しさからなのでしょうか。

 

そしてクリスティーナに呼ばれ、侑・せつ菜と合流した遥。

「あの…お姉ちゃんは一緒じゃないんですか?今日はどうしても見て欲しいんです。だって…」

「遥ちゃん!彼方さんが待ってるよ、来て!」

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きっと、遥の「だって」という言葉の先には「私の最後のライブだから」というニュアンスの言葉が連なっていたことでしょう。

 

ですが、侑はそれを言わせる前に彼女の手を引きます。


どちらかの夢しか叶えられない世界じゃない。

2人で2つの夢を叶えていく。それを伝えるステージへ。

 

愛と夢とやりたいことが込められた彼方のステージが、ここに始まろうとしているのです。

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14.Butterfly後

Butterfly披露後、シーンはステージ裏へ。

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ここで、彼方は今の正直な気持ちを遥へ伝えます。

彼方「あのね、2人とも同じ想いならお互いを支え合っていけると思うの。」
「支え合って…」
彼方「これからはうちのこといっぱい手伝ってね、お互い助け合ってスクールアイドル続けていこ?2人で夢を叶えようよ。」

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「支え合う」という言葉が、まるで2つの羽で舞う蝶を思わせます。

 

手を繋いで。ひとりでは抱きしめきれない大きな大きな夢を2人で掴む。

そんな素直な気持ちを遥へ伝えることができた彼方。

 

さらに、スクールアイドルをやめると言っていた遥へ、彼方はこう宣言します。

彼方「遥ちゃんは、彼方ちゃんがこんな素敵なライブをしたのに今日でやめるなんて悔しいって思わないの?」
「それは……思う……」

彼方「スクールアイドルではライバルだよ?お互い頑張ろ!」

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ライバルから受け取る「悔しい」気持ちは、自分の原動力へと変わっていきます。

前のシーンでかすみやしずくが触れた観点ですね。

 

また、このセリフは「ステージに上がれば、学年や年齢は関係なく『ライバル』として平等だよ」ということを示してくれています。

(特に近江姉妹は、他校同士なので「ライバル」というニュアンスは強いですよね)

 

さらには、

かさね「とっても素敵なライブで、やる気貰っちゃった!」

と、有名校である東雲学院のメンバーへ「やる気」を与えることもできてしまいました。

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この瞬間、「ライバルであり仲間」という関係は「彼方と遥」だけにとどまらず、「東雲学院と虹ヶ咲学園」という学校を超えたつながりへと昇華したのだと思います。

 

ステージにかけた想いは、聞いてる人みんなに伝播する。

 

そんな「ライブ」の力を再確認したシーンともなりました。


15.近江家のシーン③

そしてシーンはまたもや近江家に戻ってきます。

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冒頭では彼方が作っていた卵焼きを、遥が挑戦しています。

さっそく2人の関係が変わりつつありますよね。

 

「んぅ~……夕飯の時、作り方教えて…?」
彼方「!……もちろん!」

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以前の彼方なら、ここで「いいんだよ、遥ちゃんは。」と答えていたかもしれません。

ですが、今はもう違います。

 

お互いの心の中に「助け合うこと」と「自分の叶えたい夢」、そして「相手の叶えたい夢」を克明に描くことができた彼女たち。


失敗した卵焼きが綺麗に焼けた時、彼女たちのスクールアイドル活動はもっと素晴らしいものになっていくことでしょう・・・。

 

 

以上、ラブライブ!虹ヶ咲スクールアイドル同好会第7話「ハルカカナタ」の感想でした。

長い記事、ここまで読んでくださりありがとうございました!


次回!「しずく、モノクローム」!!

 

いよいよだ・・・。