【前半】物語を彩る曲たち【OSTから見るラブライブ!サンシャイン!!】

さめです。

今回の記事は、先日の「キセキヒカル」で話題となったOST(オリジナルサウンドトラック)について。

 

現在、ラブライブ!サンシャイン!!としてOSTのCDは以下の二枚が発売されている。

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「Sailing to the Sunshine」(アニメ1期主体)

「Journey to the Sunshine」(アニメ2期主体)

 

上記に収録されているサウンドトラックが劇中、はてはライブ中の随所に使用されているわけだが、実は、そこには重大な意味が隠されていた。

ただのBGMだと思っているだけではもったいない。

作中に幾度となく使われているOST

その中でも、特に私が感銘を受けたOSTとシーンの組み合わせを抜粋して紹介していこうと思う。

 

1.あなたと一緒に・・・(1期1話)

まずはじめは1期1話「輝きたい!!」から。

スクールアイドル部の入部届けに自身の名前を描いて渡す渡辺曜のこのシーン。

 

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「だから、水泳部と掛け持ち・・・だけど!はい!」(渡辺曜

このシーンで流れる、5秒ほどの効果音のようなサウンド。

このサントラのタイトルが「with YOU」である。

 

なぜ感銘を受けたかというと、それは曲名の通り。

直訳すると「あなたと一緒に」となり、曜から千歌への気持ちが見事に表現されているわけだが、この曲名、「YOU」とわざと大文字にしてある。

つまり、「YOU」を「曜」と読めば、「with 曜」で「曜と一緒に」となる。

こうなると、見方は千歌目線へ。1期11話の「スクールアイドルは絶対一緒にやるんだって。絶対曜ちゃんとやり遂げるって。」という梨子が語った千歌の気持ちに繋がってくる。

 

つまり、このたった5秒のサントラが、曜だけでなく千歌の気持ちを表現しているのである。

 

2.対照的な姉妹(1期2話)

お次は1期2話「転校生をつかまえろ!」から。

 黒澤ダイヤがμ'sについて熱く語るシーン~黒澤ルビィを飴で釣るシーン。

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「言うに事欠いて、名前を間違えるですって!?」(黒澤ダイヤ

 このシーンで流れるサントラのタイトルが「Carrot & Stick」である。

直訳すると「ニンジンと棒」と、少々意味がわかりづらいかもしれない。

それもそのはず、「Carrot & Stick」は諺。

日本語に直すと「褒美と罪」、つまり「アメとムチ」なのである。

 

ここでピンと来るかもしれない。

「アメ」で釣られる黒澤ルビィ、μ's愛という「ムチ」を振りかざす黒澤ダイヤという構図が浮かび上がってくる。まさにこのシーンそのものである。

 

また、少しこじ付けのようになってしまうかもしれないが、単語単位で意味を考えてみる。

Carrotには「赤毛の人」という意味、Stickには「細長い木」という意味がある。

よって、「Carrot & Stick」で「細長い木と赤毛の人」。

木に隠れていた黒澤ルビィのシーンそのものではないだろうか。

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「ほーらほらー。怖くなーい。」(高海千歌

 

3.時を越えるコトバたち(1期4話)

次は1期4話「ふたりのキモチ」から。

小原鞠莉にスクールアイドル部を承認され、部室に初めて入ったシーン。

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 「とにかく入ろうよっ!」(高海千歌

 このシーンで流れるサントラに、覚えがある方も多いかもしれない。

というのも、このサントラが初めて使われたのは1期2話。

「♪詩ってなに~~~」「♪たぶん~~~歌の歌詞のことだと思う~~~」という強烈な(?)千歌と曜の掛け合いのシーンであるからだ。

そして、このサントラの曲名こそが「詩って、なあに?」である。

 

1期2話ではシーンそのままの使われ方だ。

だが、なぜ1期4話のこのシーンでも使われるのか。その答えは、この後の千歌の行動が示している。

 

このあと、千歌はホワイトボードにかすかに残っている、三年生が二年前に残した歌詞を見つけるのだ。つまり、ここでの解釈としては「(ホワイトボードに書かれているこの)詩って、なあに?」となり、このシーンにおいてもストーリーに対して違和感なく使われているのだ。

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「ん?なんか書いてある。」(高海千歌

 

4.叶わないモノ(1期6話、2期1話)

次は二つの話、1つ目は1期6話「PVを作ろう」、2つ目は2期1話「ネクストステップ」から。

 

まずは1つ目、1期6話「PVを作ろう」より。

廃校になる、という事実を改めてダイヤにつきつけながらも、なんとか回避しようと固い決意をする小原鞠莉のシーン。

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「この学校はなくさない。 私にとって、どこよりも大事な場所なの。」(小原鞠莉

このシーンで「もしかしたら廃校阻止できるかも?」と思った方も多いかもしれない。

かくいう私もその一人である。

だが、既知のとおり2期において廃校が決定してしまう。

 

そして、このシーンで使われるサントラもその不条理な事実を仄めかしている。

ここで使われるサントラのタイトル。それは「つかめない光」。

 

2期における廃校決定という事態をあらかじめ提示したような使い方に、深く感銘を受けた。

この鞠莉の学校(=光)を残したいという決意。それは文字通り「つかめない」ものだった。この結末が、1期でOSTという形で示されていたのである。

 

 

また、あらかじめ廃校を仄めかすサントラの使い方として2つ目にあげた2期1話「ネクストステップ」にも存在する。

それは、Aqoursが新たな練習場所として曜の父親が借りている場所に到着したこのシーンだ。

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 「ひろーーーい!」(高海千歌

この直後、3年生から学校説明会を中止し、来年度から応募をやめる旨の話を受けるわけである。

ここで使われる比較的アップテンポなサントラ。

そのタイトルこそ、1期で廃校という話で舞いあがった千歌のシーンでも使われた「廃校キターー(゚∀゚)ーー!!」である。

このシーンでも、廃校決定という事実をOSTという形で示しているのである。

 

5.よしりこ案件?(1期2話、2期4話)

前半戦最後に、面白い使い方をしていると感じたところを。

1期よりじわじわ勢力を伸ばし、2期5話で栄華を極めた桜内梨子×津島善子のキャラカップリング、通称「よしりこ」案件だ。

実は、OSTでもそれが示されている(と思われる)箇所が存在する。

 

まずは梨子→善子。これは1期2話「転校生をつかまえろ!」から。

千歌や美渡にさんざんな扱いをされ、とうとう痺れを切らした梨子のこのシーン。

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「は・じ・め・る・わ・よ?」(桜内梨子) 

ここで流れる、若干のホラーっ気を醸す独特のサントラのタイトルが「フォーリン・ヨハネ」である。梨子のシーンで使用される、ヨハネの名を冠したサントラ。

のちの2期5話で堕天することとなる梨子の姿の先駆けではないだろうか。

 

 

次は善子→梨子。こちらは2期4話「ダイヤさんと呼ばないで」から。

フリーマーケットで売れ残った黒い羽が飛んでいくシーン。

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「 まるで傷ついた私の心を癒してくれているかのよう・・」(津島善子

 ここで流れる、流暢なピアノの旋律。このサントラのタイトルが「桜色の風」である。

この「桜色の風」、他では1期1話冒頭で転校生として教室に入ってくる梨子のシーンで使われている。

てっきり梨子用のサントラと思いきや、ここでは善子のシーンで使われている。

桜色の風が飛ばすヨハネの羽根。それはまるで軽快なピアノのリズムのように、虚空へと舞い上がっていくのである。

 

・・・と、このようにさまざまなシーンでいろいろな使われ方をしているOSTたち。

次にアニメを見返すときは、このOSTを少し気にかけてみたらいかがだろうか。

 

今回はここまで。読んで下さりありがとうございました。