【前半】劇場版ラブライブ!サンシャイン!!感想
長らくお久しぶりです。さめです。
「お前、まだブログ書く気あったのか!」と思われるくらい久々の更新となりました。
今回は先月公開となった劇場版ラブライブ!サンシャイン‼The School Idol Movie Over the Rainbowについて、想ったこと・好きなところをシーンごとにつらつら書いていこうと思います。
※こちらの記事は前半です。
1.冒頭、浜辺での3人のシーン
劇場版の始まりは、軽やかなメロディ「想い出を飛ぶ紙飛行機」から始まった。
三津浜にいる幼少期の千歌と曜。
そして、のちに出会うこととなる白いワンピースの梨子。
紙飛行機は彼女のもとへ飛んでいく。
アニメでさんざん見てきた三津浜に、幼少期の梨子がいる。
なぜ紙飛行機は梨子のもとへ飛んで行ったのか?????????
そもそも何故この景色に梨子がいるのか?????????
このシーンを見た瞬間、私は感動すると同時に心の中の疑問符を消し去ることができなかった。
そして、上記の疑問点を私は以下のように解釈してみた。
まず1点目。
そもそもこの幼少期のシーンは「存在した過去」ではなく、彼女たちの「心象風景」、いうなれば「今まで自分を育てた景色」だということ。
そして、その心象風景に幼少期の風景に梨子がいるのは、千歌がアニメのストーリーを経て「今まで自分を育てた景色」に梨子を描くことができた、という成長の証。
そして2点目。
紙飛行機が梨子のもとへ飛んで行ったのは彼女たち三人の出会いの予感。
梨子が千歌たちと出会う、という「奇跡」の予感と千歌・曜の「軌跡」が重なった、とても素晴らしい情景。
まさに劇場版ラブライブ!サンシャイン!!の開幕にふさわしい。
なんと珠玉のシーンであろうか!
2.僕らの走ってきた道は・・・
そんなシーンに感動しつつ、気付いたら劇中歌一曲目。
「僕らの走ってきた道は・・・」の始まりだ。
アニメでは描かれなかった沼津のいろんな場所が描かれている!
それだけではなく、沼津の方々も描かれている!!
水たまり!!!雨!!!!!虹!!!!!!
波のように押し寄せてくるエモさに呆然となったのは記憶に新しい。
この曲、好きなポイントはたくさんある。
曜と鞠莉はびゅうおの外と中で踊ったり(12.5話のときの曜と鞠莉の会話を思い出した)。
「仲間がいて良かったなって走ってきた道」のダイヤパートのダイヤちゃんの走ってくるような振り付けがとても可愛かったり。
たくさんの他のスクールアイドルたちがいて、SUNNY DAY SONGを思わせたり。
「幕が上がったら」という歌詞とともに13話で降りた幕が開けたり。
もうこの時点でお腹いっぱい、と思ってしまうほど素晴らしい演出の嵐。
だが、この曲はまだ始まりにすぎない。
この先、もっと私に刺さる曲が待ち構えているとは知らず、スクリーンいっぱいに表示された劇場版ラブライブ!サンシャイン!!のロゴを呆然と見る私であった。。。
3.駅前にて
さて、僕らの走ってきた道は・・・が終わり、駅前のシーン。
ここで好きなのはルビィが木の影から出てくる所。
みなさんは以下のシーンを覚えているだろうか?
1期2話では木の影に隠れてなかなか出てこなかったルビィ。
それが、このシーンでは自分から、しかも1年生の中で一番最初に木の影から出てきたのだ。
これも、アニメ1期~2期を通したルビィの成長の一部なんだなぁと、1人感慨深くなっていた。
4.大黒屋のシーン
シーンは進み、やば珈琲~月登場から大黒屋のシーンへ。
月が曜について他のメンバーの前で話すシーンだ。
ここで曜の衝撃的な過去が明かされる。
彼女がわざわざ自宅から遠い浦女に通うことに決めたのは、千歌がいるから、であると(これでまた1期11話がしんどくなった)。
そのことを話す月。
その顔に落ちる影が、彼女の羨望、そしてうっすら妬みを感じさせた。
そして、このシーンで思ったのが、「渡辺月」というキャラクターがなぜ「渡辺曜」のいとこでなければならなかったのか、ということだ。
いとこなら別に渡辺家である必要がない。
他のキャラでもいいはずだ。
そんな疑問は、月自身が説明してくれた。
「千歌ちゃんと同じ学校に通いたい」
恥ずかしがり屋の曜に変わって、月はこんな爆弾発言を投下した。
これが、渡辺のいとこである所以だ。
つまり、「曜が浦女を選んだ理由を明確にするため」ではなかろうか。
他のキャラは、善子以外は「家が近いから」という理由で浦女を選んだのかもしれない(親類が通ってた、という理由もありそうだ)。
そして善子は、家こそ内浦地区にないものの、市街地の高校に進学しなかった理由が存在する。
それは「中学の時の同級生に会いたくなかった」という理由だ。
ご丁寧に、この後の月の学校のシーンで善子があわや"前世を知るもの"・・・当時の同級生と出会いそうになる。
そして、月の「千歌ちゃんと同じ学校に通いたい」というセリフ。
うすうす感づいてはいたが、こうもはっきり言われるとは衝撃的展開だ。
脳内で今までの千歌と曜のシーンが走馬灯のように駆け巡るわ、照れてる曜が可愛いわでもうどうようもなく好きなシーンとなった。
4.新しい学校で
そして場面は変わり、月の学校のシーン。
正門の前であたふたする善子が可愛かったり、Aqoursパフォーマンスの前の弓道部のステージで「そういえばアイドル研究部と弓道部を掛け持ちしてたスクールアイドルがいたなぁ」という"海色少女に魅せられる"ような感覚になったり。
かくして、彼女たち6人はステージに立つ。
フォーメーションは、誰もが予想し、期待したであろう、「夢で夜空を照らしたい」。
正面から照らさせる強烈な「期待」と「疑惑」の光に照らされるAqours。
その光が彼女たちの背中に影を落とす。
そして彼女たちは不意に、何もない後ろを振り向く。
刹那、千歌の三つ葉のヘアピンが落ちるーーーーーー。
すこしラノベのようになってしまったが、このシーンがもたらす意味は大きい。
このとき彼女たちは、「6人のAqours」を見つけるために敢えて三年生に頼らないようにしていた。
それはまるで、新しく始まった彼女たち6人の軌跡から3年生という存在を無理やり排斥するようであった。
しかし、彼女たちはステージに立って気づかされた。
3年生という存在の大きさを。
そして、自分たちが実は心の底では3年生という存在を求めていることを。
そんな気持ちが、6人を後ろへ振り向かせた。
あの瞬間、ステージ上の彼女たちの後ろに広がっていたのは、Aqours9人の軌跡だった。
前を向いた千歌の髪から後ろに飛んだ三つ葉のヘアピンは、3年生に頼らず6人だけで前進しようとする千歌とは裏腹に、心の底では3年生に会いたいという彼女の相反する気持ちではないだろうか。
「緑」色の「3」つ葉のヘアピンは、「緑」色のリボンをした「3」年生「3」人を象徴しているかのようであった。
このシーンのOSTが「Missing Piece」なのも、失ったカケラ(=3年生)を求めた彼女たち6人の想いなのかもしれない。
5.大黒屋(ライブ後)
このシーンは本当に心が痛んだ。
「ラブライブ!で優勝した」ということを再確認しておいて、ミスをしてしまった6人の落胆。
この失敗はただの失敗ではない。
浦女みんなの未来を決める重要なステージであると同時に、「スクールアイドル」という概念を背負って立つステージだった。
それが、失敗という形で終わる。
言葉が強くなってしまうが、ラブライブ!で優勝したグループが失敗するということは、「スクールアイドル」という概念そのものに泥を塗る行為で、それだけの責任を彼女たちは感じていたのではないだろうか。
そして、追い討ちをかけるように「兼部」という言葉が心に突き刺さる。
曜をのぞいて、他のメンバーは兼部をしていない。
つまり、本当に全力で部活に取り組めたはずなのだ。
これは、兼部が普通だった浦女では稀に見る光景だったのだろう。
泣きっ面に蜂か、さらにはよいつむの三人に気を使わせてしまう。
スクールアイドルという概念に対する罪悪感。
兼部などをせずスクールアイドル一本で取り組んできた自分たちの軌跡。
そして、ただでさえ廃校を救えず在校生に後ろめたさをもっていた彼女たちに気を使うよいつむの姿。
こんな想いが、よいつむが渡した6個の大判焼きをみんなに分ける、という千歌の行動を打ち消したのであろう。
彼女は、すべてを一人で背負いこんだ。
それが、この「分けられることがなかった6個の大判焼き」のシーンに込められた想いだと感じた。
ちなみに、この後大判焼きは"廃校を救えなかった浦女の卒業生"である美渡姉に1つ食べられるわけだが、これはなんたる皮肉であろうか。
6.千歌と梨子のシーン
続いては、場面切り替わり千歌と梨子のシーン。
このシーンで好きなところは、梨子の「失敗は自分たちでとりかえす」というセリフ。
このセリフ、過去にピアノコンクルールで引くことができなかった梨子が言うのがとても説得力がある。
そして、この観点はキャストの経験としても当てはまる。
このセリフを聞いて、誰もが思ったかもしれない。
Aqoursファーストライブ2日目の「想いよひとつになれ」。
詳しくは書かないが、このセリフには梨子の想いに加え、逢田さん自身の経験からの想いも乗った、とてもラブライブ!らしいセリフだと感じた。
そして、このセリフを梨子/逢田さんが言うことができるもの、彼女たちの成長を感じさせた。
7.SaintSnow登場
心機一転、6人での練習を続けるAqoursの前に、彼女たちは再び現れた。
あのHAKODATE UNIT CARNIVALのself controlアレンジが聞こえてきそうなくらいスタイリッシュな登場。
函館が生んだスーパースター、SaintSnowの登場である。
このシーンはやはり、理亞の叫ぶところが印象に残っている。
表面上は3年生という存在に触れようとはせず、心の中では3年生を求めていたAqours。それは、理亞も同じだったのではないだろうか。
そんな気持ちを悟ってほしい、どうすればいいか助けてほしいと言わんばかりに、ルビィに目くばせをする理亞。
しかし、「どうすれば・・・」とうろたえてしまうルビィ。
函館で、あそこまで二人で気持ちを通わせて、一緒に成長してきた理亞とルビィ。
そんなルビィがこの調子では、理亞も激高して当然だろう。
だが、こんなことで友情や信じる気持ちが破綻しないのがこの2人の好きなところだ。
8.イタリア到着、ルビィと仮面のシーン
鞠莉ママが来て、チョコを落とし、謝礼を提示し、イタリアへ(結構すっ飛ばした)。
ここで好きなセリフは、ルビィと仮面のシーンの直前、月の「車は通れないんだ」のセリフだ。
2期10話「シャイニーを探して」や予測不可能Driving!等、何かと「車」に縁がある3年生。
「車」を3年生の象徴ととれば、3年生が逃げた先にたどり着いた水の都、ヴェネツィアは月の「車は~」のセリフから、逆に彼女たちを追いこんでいるようにも見て取れる。
何かと乗物に縁が深いこの作品において、そんな見方もできるのではないだろうか。
9.コンタリーニ・デル・ボーボロ
電話をとった月に導かれ、彼女たちがたどり着いたのはまるで中世のような風景を醸す場所。
初見時はなかなか覚えることができなかった、「コンタリーニ・デル・ボーボロ」のシーンである。
このシーンは、OSTのタイトルが発表されてから好きになった。
そのタイトル、「再開への階段」。
私の一番好きなOST、「輝きへの階段」と対をなすようなタイトル。
また、タイトルだけでなく使用されているシーンの意味合いを取っても面白い。
輝きへの階段は、ダイスキだったらダイジョウブ!のシーンを皮切りに、神田明神の階段を駆け上がるシーンや、音ノ木坂学院への階段を駆け上がるシーンなど、μ'sの輝きを追いかけてその階段を上っていた当時のAqoursの想いを示すシーンに多く使用されている。
そして今回の「再開の階段」。
メロディラインは起こそうキセキを!のアレンジとなっている。
このアレンジ元の「キセキ」を軌跡ととると、新しい学校のステージに立ったシーンで後ろを振り向き三年生の軌跡を求めたあの気持ちが見事に表現されているように感じないだろうか。
心の底で求めていた3年生が、目と鼻の先にいる。
そのためなら、長い階段など苦にはならない。ただ一人の例外を除いて・・・。
10.逃走迷走メビウスループ
やってきました、劇中歌2曲目。
3年生3人のアップテンポなメロディ。逃走迷走メビウスループの始まりである。
この曲で好きなポイントは2点。
1点目は曲が始まる直前の「川を流れる3つの青い羽」と「追いかけられてるはずが
追いかけてるのかもホントは」という歌詞だ。
彼女たちは追いかけられている。鞠莉のママに。そして6人のAqoursに。
それでは彼女たちは何を追いかけているのだろうか。
そのヒントは、「川を流れる3つの青い羽」にあるのではないか。
川を流れる3つの青い羽。
「川」は絶えず1つの方向に流れ、戻ったりはしないことから「時間の流れ」。
「3つの青い羽」はAqoursとしての3年生3人。
よって、このシーンを「3年生3人がAqoursとしていられる時間」ととることができる。
3年生3人は、これを追いかけているのではないだろうか。
3年生3人は、自身がAqoursとしていられる時間を追いかけると同時に、Aqoursとしていられなくなるタイムリミットに追いかけられている。
アップテンポなこの曲に、そんな切ない気持ちも入っているのかもしれない。
次に2点目は、サビで3年生3人がバスに乗り込んで走っているその道筋が光の筋となり自身が踊る道に変わっていく(説明が難しい)シーンだ。
※歌詞でいうと「面白くなってきたよ run away forever」のところ
この演出、道が道の一部になるという再帰的表現、まさにタイトルのメビウスループにぴったりで、初見時にとても感動したのを覚えている。
以上、ここまでが劇場版ラブライブ!サンシャイン!!感想の前半となります。
ここまで読んでいただきありがとうございました。